登山におすすめの飲み物は?水分補給のタイミングや量も解説
登山に必要不可欠な飲み物。飲み物を摂取しないと、登山中のパフォーマンスの低下や、行動不能になる恐れがあります。この記事では、登山中におすすめの飲み物や、摂取するべきタイミングを紹介します。
登山で飲み物を摂取するべき理由
登山は負荷の高い運動のため、発汗により水分が大量に失われます。人間は体重の2%以上の水分(60kgの場合1.2kgの水分量)が失われると、運動パフォーマンスが落ちるとされています。水分量が足らなくなるサインは、汗が一時的にとまったときです。汗がとまる=これ以上だせる水分がないという状態で、頭痛や目まい、集中力の低下などさまざまな体の不調を引き起こします。
ノドがかわいた時点で、すでに水分補給のタイミングは遅いといわれています。そのため、登山中は自覚症状が出る前に、定期的に飲み物で水分補給をすることが大切です。登山が終わったあと、2時間尿意がなかったり、尿の量が少なく色が濃い場合は、登山中の水分補給量が足りなかったということになるので注意してください。
登山中に失われる水分量
登山中に失われる水分量は以下の計算式で求められます。
体重(kg)×登山をする時間×5(ml)×70~80%=失われる水分量(ml)
体重60kgの人が5時間登山した場合に失われる水分量は1,050ml~1,200mlとなります。また、登山中(運動中)の水分摂取量の目安は、失われた水分量の約150%を推奨されています。体重60kg/登山5時間の人の場合、摂取すべき飲み物の量は1,575~1,800mlとなる計算です。必要な水分量は、どんな登山をするのか、体質なども関わってくるため、あくまで目安としてください。
ただし、失われた水分量を補給しようとして真水(ミネラルウォーターなど)を過剰に摂取してはいけません。汗をかくと、水分と同時に電解質(カリウム、ナトリウム[塩分])が放出されます。塩分が含まれていない真水を摂取しすぎると体液が薄まってしまい、脱水症状と同じような疲労感がでてしまう可能性があります。特に、発汗量が少なくなる涼しい時期や場所では、水分量の調節に気をつけてください。
登山で飲み物を摂取するタイミング
登山はたくさんの水分が必要なハードなスポーツです。登山の安全性を高めるためにも、飲み物を意識的に摂取し、パフォーマンスを維持しなければなりません。飲み物を摂取するタイミングを知って、体の水分量を維持しましょう。
登山をする前(準備中)
登山開始の20~40分前に、200~600mlの飲み物(ペットボトル約1本)を補給します。このときに、塩分も一緒に摂取することがポイントです。食事で塩分を摂れていない場合は、スポーツドリンクか経口補水液を飲むようにしてください。
登山の行動中
登山中は2~30分の間隔で、200ml飲み物を摂取してください。これは、人間が1度に吸収できる飲み物の量が200mlとされているからです。200ml以上飲んでも尿として排出されるだけなので、トイレが近くなります。こまめな水分の摂取が、脱水を防ぐポイントです。
登山が終わった後
登山が終わってからも、飲み物を摂取するよう心がけてください。激しい運動である登山は、予想以上に水分を消費します。アルコールは利尿作用があるので、なるべく登山後は避けるようにしましょう。
登山でおすすめの飲み物
登山中は発汗とともに、電解質が失われます。飲み物を摂取するときは、失われた電解質を補給できるものがいいでしょう。おすすめの飲み物を3つに分けて紹介します。
スポーツドリンク
スポーツドリンクとは、スポーツで失われる成分を補給できる飲み物のことです。主に、電解質(カリウム、ナトリウム[塩分])や、ミネラル(カルシウム、マグネシウム)、消費カロリーを補給できる糖分が含まれています。疲労回復や運動に役立つ、クエン酸やアミノ酸が含まれている製品もあります。
スポーツドリンクはペットボトルタイプが一般的ですが、ゼリーや水に溶かせる粉末タイプのものも販売。1時間以上の登山をするのなら、スポーツドリンクを推奨します。
また、スポーツ飲料は「アイソトニックタイプ」と「ハイポトニックタイプ」2つの分類に分かれます。
アイソトニックタイプ | 体液の組成に近い飲み物・運動前、運動中におすすめ |
ハイポトニックタイプ | 浸透圧が体液ひより低い飲み物・運動中、運動後に推奨 |
アイソトニックタイプは、スポーツドリンクに含まれている成分のバランスが良く、成分を効率的に吸収できます。ハイポトニックタイプは水分の吸収が早いので、運動中や運動後におすすめの飲み物です。
経口補水液
経口補水液は、脱水症の食事療法にも用いられる経口補水液と呼ばれる飲み物です。スポーツドリンクよりも電解質の濃度が高くなっています。基本的に、電解質の吸収を早めるため糖の濃度は低いです。軽登山であればスポーツドリンクでも十分ですが、汗をかきやすい夏場や重登山では経口補水液もおすすめします。
経口補水液は購入する他に、自分で作ることも出来ます。以下が経口補水液の作り方です。
材料
- 水…500ml
- 砂糖…15(10~20)g
- 塩…1.5g
- レモンの汁…大さじ1
- 容器にいれて材料を混ぜ合わせる
- 1を飲み物をいれる器にうつして完成
砂糖の量は好みや、必要なエネルギー量に合わせて調節してください。自作の経口補水液の場合は、保存期間が短いのでなるべくその日のうちに飲むようにしましょう。
ミネラルウォーター
塩分をバランスよく摂るのなら、真水(ミネラルウォーター)を飲み物に選んでもいいでしょう。粉末タイプのスポーツドリンクや経口補水液をもっていけば、いつでも別の飲み物に変化させられます。いざというときは、怪我した部位の洗浄にも使えます。真水を摂取する場合は、体液が薄まらないようにスポーツドリンクか経口補水液、塩分をふくんだ行動食を同時に摂取してください。
登山の飲み物におすすめの製品10選
登山中は飲み物が手放せません。せっかくなら、塩分やミネラルが豊富なものを飲みたいですよね。登山中におすすめの飲み物を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
スポーツドリンク|アイソトニックタイプ
オールラウンダーなスポーツドリンク(アイソトニックタイプ)は登山の味方。色々なタイプがあるので、自分に合ったものを選択してください。
【大塚製薬】ボディメンテ
体調維持をサポートしてくれる乳酸菌が配合された飲み物。体液の組成に近く、塩分や電解質がやさしく体に吸収されます。グリーンシトラス風味のさわやかな飲み心地が魅力のスポーツドリンクです。登山以外に、日常生活でも飲みたい方にいいでしょう。
【コカ・コーラ】アクエリアス
スポーツドリンクの王道のアクエリアスは、登山中に失われやすいミネラルや塩分がバランスよく含まれた飲み物です。疲労回復にいいとされるクエン酸も配合されているため、登山中や下山後の飲み物にもいいでしょう。体液に等しい浸透圧をもっているので、水分を素早く補給可能です。
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【サントリー】グリーンダカラ
電解質や鉄分が含まれているスポーツドリンクです。水分補給を効率よくするための糖設計をおこなっており、水分をスピーディに吸収してくれます。すっきりとした甘さの果糖を使用しているので、甘すぎる飲み物が苦手な方にもいいでしょう。
【大塚製薬】ポカリスエット
電解質や塩分などのイオンバランスが優秀な飲み物です。体液に等しい浸透圧によってスムーズに水分補給。炭水化物も含まれているので、行動中にカロリーを摂取したい方にもおすすめです。
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スポーツドリンク|ハイポトニックタイプ
スピーディに水分を摂取できるハイポトニックタイプのスポーツドリンク。汗をかきやすい人にもおすすめです。
【味の素】アミノバイタルGOLD
持久力が向上するとされるBCAAなどの必須アミノ酸を2,000mg配合したスポーツドリンクです。体液より低い浸透圧に設定することで、水分の吸収を早めてくれます。マスカット味になっているため、飲みやすくリフレッシュにもなります。粉末タイプはグレープフルーツ味もありますよ。登山中ノドがかわきやすい方に、とてもおすすめの飲み物です。
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【明治】ヴァーム(VAAM) スマートフィットウォーター
VAAMは登山中の発汗で失われるカリウム、カルシウム、マグネシウムが配合された飲み物です。特徴的なのは、体脂肪の減少を助けるとされているアミノ酸を配合しているところ。体重が気になっている方に推奨したいスポーツドリンクです。味は、すっきりレモン味とやわらかアップル味があります。他にも、VAAMアスリートという運動に特化したタイプも販売。
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【大塚製薬】アミノバリューBCAA
▼粉末タイプをみる▼
運動中の疲労感をやわらげてくれる飲み物です。必須アミノ酸のBCAAが8000mg含まれている機能性表示食品にもなっている製品。登山前や下山後に飲むと、疲労感が変わってくるでしょう。登山後の疲れに悩む方におすすめのスポーツドリンクです。
経口補水液
経口補水液は自作もできますが、メーカー製品も用意しておくと保存しやすいですよ。登山中以外にも、体調不良時の飲み物としても役立ちます。
【味の素】経口補水液 アクアソリタ
りんご味で飲みやすく工夫された経口補水液です。電解質の成分をハイポトニックタイプのように設計することで、素早く水分を体に補充。一般的な経口補水液よりも低カロリー、低塩分な飲み物になっているため、軽登山や日常生活を中心に活躍してくれるでしょう。
【コカ・コーラ】アクエリアス 経口補水液
ナトリウム、カリウムなどの電解質濃度が高い飲み物です。激しく汗をかいたときでも、失われた水分と成分をしっかり補給。すっきりとした柑橘味で、ストレスなく飲めます。炭水化物も含まれているので、エネルギーの補充にもおすすめ。
【大塚製薬工場】 経口補水液 オーエスワン
バナナ1本分のカリウムが摂取できる飲み物。お味噌汁1杯ぶんの塩分も補給できます。軽度から中等の脱水時にもいいとされ、登山中に飲み忘れが多い方にもいいでしょう。
▼粉末タイプはこちら▼
登山中にNGな飲み物
登山中にNGな飲み物は利尿作用があるものです。利尿作用があると水分が排出されやすく、トイレに気軽に行けない登山中は推奨されません。以下がNGな飲み物の特徴です。
- アルコールが含まれている飲み物(お酒)
- 糖分の多い飲み物(ジュース)
- カフェインが多く含まれている飲み物(コーヒー、お茶)
アルコールは飲んだぶん以上に水分を排出する作用があるとされています。登山前から登山中、登山後もアルコールを摂取するのは控えておきましょう。
ジュースは糖分が多く、急激な血糖値につながる可能性があります。血糖値は摂取後しばらくすると急激に下がり、目まいやストレスを引き起こすことも。体の負荷を避けるためにも、登山の行動中はジュースを避けるようにしてください。
カフェインにも利尿作用がありますが、同時に覚醒作用と集中力を高める効果があるといわれています。お茶(紅茶、緑茶など)やコーヒーを飲むときは、登山前や長い休憩をするときに摂取するようにしましょう。
登山中は飲み物を積極的に摂取しよう
登山は水分が大量に失われる、ハードな運動になります。飲み物を摂取しないと、登山中の行動に支障をきたす可能性があります。電解質が含まれている飲み物なら、汗と一緒に排出される成分も補えます。飲み物を効率的に摂取し、パフォーマンスを向上させて登山にのぞみましょう!