白馬岳を猿倉~白馬岳~栂池高原で登る!秋道は難易度アップ?!
大雪渓で有名な白馬岳は、北アルプスのなかでもポピュラーな山です。初心者でもアイゼンやチェーンスパイクなどの装備を整えれば登れると聞き、実際に登ってきました。実際に登った結果、白馬岳はめちゃくちゃ体力が必要な山なので注意しましょう。
白馬岳とは
白馬岳(はくばだけ、しろうまだけ)は、富山県と長野県の間にある標高2,932mの高峰です。白馬岳の見どころは、夏季になっても残っている大雪渓。白馬の大雪渓をを一目見ようと、多くの人が登りにやってくる人気の山です。著者は9月の平日に登りましたが、始発バス到着前(朝5:00頃)から登山口で準備をする人々がいました。
ルートは猿倉~白馬岳~栂池高原
大雪渓を登るために、一番ポピュラーな登山口「猿倉」から入りました。1泊目は白馬岳の手前にある白馬山荘に宿泊。2日目に白馬岳山頂を目指し、白馬大池を通過して栂池高原にロープウェイで降りました。
猿倉~白馬岳~栂池高原のルートは、北アルプス初心者にもおすすめされるようなコースですが、正直に言うとすごく大変なルートでした。著者が特に体力がないのもありますが「猿倉からの急登は合戦尾根以上だ…」と山荘で会った方が言うほどの急登です。行程も長いです。健脚ではない方は心して登りましょう!
大雪渓を登るのならアイゼン装備は必須
大雪渓を登山靴のまま登ろうとすると雪で滑ってしまい、かなり登りにくいうえに、最悪の場合滑落してしまうおそれがあります。最低でもチェーンスパイク、軽アイゼンを持っていきましょう。著者の場合は、軽アイゼンを持っていきましたが、滑りませんでしたよ。
9月ごろから秋道に変化
大雪渓前の道は、夏と秋とで変化します。理由は、夏後半になると大雪渓が小さくなり、安全性を高めるために登山道を変える必要があるからです。つまり、秋道になると大雪渓を歩く時間が減ります。そのうえ、秋道はザレていて靴底がすべるので、かなり歩きにくく感じました。大雪渓を心ゆくまで楽しみたい方は、夏道のうちに登りに行きましょう。
秋に歩く白馬岳のレポート
2022年9月15日~16日の1泊2日で登りに行きました。岳人のあこがれともいえる白馬岳は、美しい絶景の連続です。道のりを詳しくレポートしたので、ぜひ参考にしてください!
白馬岳に登る前日
猿倉へは高速バスが出ていますが、満席で乗れなかったので、前日に白馬駅周辺に宿泊しました。白馬駅周辺は夜になると、かなり暗いです。安さ優先で駅から離れた宿にしたのですが、ヘッドライトがないと行くのが無理なほどだったので、前日泊する方は駅チカをおすすめします。
登山口「猿倉」に到着
猿倉へはタクシーで移動。平日の早朝にもかかわらず、ポツポツ人がいました。
登山届は猿倉にある「猿倉荘」の目の前にあるので忘れずに提出。トイレは猿倉荘の向かい側にありますよ。
登山口は猿倉荘の脇にあります。最初は砂利道を歩いてきますよ。
最初は幅広い林道歩きなので特に危険箇所はありません。途中に沢が流れている場所がありますが、細い橋で渡れます。
林道が終わると本格的な登山道のスタートです。大雪渓まではなだらかな道が続きますよ。
最初の登山道は木で整備されているので、とても歩きやすいです。眼前には白馬の峰々も見えます。
白馬の大雪渓へ
猿倉から約1時間ほどで「おつかれさん!ようこそ大雪渓へ」と書かれた石盤が出現。これが見えると白馬尻小屋に到着、大雪渓が見えます。
通常だったら営業している「白馬尻小屋」ですが、2022年は残念ながら休業。トイレ(階段上)は使えましたので、小屋前の大きい広場で小休憩します。
白馬尻小屋から先が白馬岳への大変なところです。ガレてる、ザレてる道が多く滑りやすいところも多々。
滑って転んだら、脇にある雪渓に真っ逆さまなんてところもあります。(実際に2022年秋道で事故が発生しました)そして何より急登で体力がもっていかれます。
幸いなのが、道にピンクリボンや矢印がたくさんあるので、迷う心配は少ないところです。迷いそうになったら目印がないか周囲を見渡しましょう。
大雪渓周辺は落石が多いので早めに通過してください。鈍足の著者は、早めに通過することをあきらめましたが、遠くから「カラカラ…」と岩が落ちる音が聞こえてちょっと怖かったです。
急登で足がプルプルしてきたころ、ようやく大雪渓の入り口に到着です。ここでアイゼンを装着。雪渓の上に紅ガラで道が作られているので、それを目安に進んでいきます。紅ガラを外れると危ないので、慎重に歩きましょう。
写真で見るとわかりやすいですが、紅ガラは泥汚れと混ざって少し見にくいです。見失わないように注意します。雪渓の上はクーラーのように涼しい…と言われていますが、この日は気温が高くあまり恩恵を感じませんでした。
大雪渓を楽しんで約30分ほどでしょうか。秋道の大雪渓にゴールです。短い! しかもゴール後の場所は急登なので、アイゼンが脱ぎにくい…。みなさまは雪渓の上でアイゼンを外すことをおすすめします。
大雪渓通過後は、緑生い茂る登山道です。美しいですが、変わらず急登なので足の疲労が限界に近くなります。
途中には上の写真のような細い橋がかかっています。踏み外したら…と思わないように、1歩ずつ確かめながら進んでいきます。
しばらくすると、2つ目の橋が出現。こちらは安定感もあり、沢のせせらぎも聞こえるので渡るのが楽しかったです。
登山道には上のような岩が多い場所もあります。残り少ない足の体力がもっていかれ、ここからは休む回数が多くなってしまいます。
しばらく歩くと避難小屋があります。ちょうどいい休憩スペースで、みなさん行動食や飲み物を飲食していました。
山小屋にたどりつけるのか心配になるほどの急登を登っていると、稜線が近づいてきました。よく目をこらしてみると…
白馬山頂宿舎が見えるー!目的地が見えてテンションがアップし、足も心なしか軽くなります。
スタートから7時間、コースタイムを大幅にタイムオーバー中ですが白馬山頂宿舎に到着です。あまりのうれしさに、キンキンに冷えたアクエリアス(500円)を購入。めちゃくちゃおいしかったです。ハーゲンダッツ(600円)も買おうか迷いましたが我慢。次の目的地の白馬山荘に急ぎます。
白馬山頂宿舎から白馬山荘が見えます。白馬山荘へは近道できる登山道と、分岐をへて遠回りしていくルートがあるのですが、見事に遠回りルートを行ってしまいます。みなさまは気をつけてくださいね!
唐松岳との分岐です。こちら側は遠回りになりますが、白馬山荘へは行けるので体力を消耗する以外は問題ありません。
白馬山荘への道はゆるやかですが、体力がもうほとんどゼロの足にはこたえます。最後のもうひとふんばりです。
宿泊地の白馬山荘に着く
スタートから約7時間40分…標準コースタイム約6時間のところを、大幅に過ぎて白馬山荘に到着です。途中すれ違った人(すでに到着済み)から祝福されながらの1日目ゴールです。階段を登ったところの目の前にある宿舎で受付をします。
白馬山荘は日本屈指の大きな山小屋です。受付もホテルのような広さで驚きました。2022年時は寝るときにシュラフやインナーシーツを持参する必要があります。忘れても不織布シートセット(1,000円)を購入できるそうです。
受付には、各ルートの注意が記載されたホワイトボードがありました。翌日行くルートは栂池高原ルートなので、天候に注意です。
山頂へ一緒に行かないか誘われましたが、体力が限界だったのでお休みします。後日、白馬山荘宿泊の記事を上げる予定です。
白馬山荘からは雲海と夕暮れが見れました。登ってきたかいのある美しい景色です。
2日目 白馬山荘をスタート
白馬山荘の裏手から朝日を見ます。朝日に染まる白馬岳、なんとも言えない荘厳さがありました。
朝6:00、白馬山荘を出発します。白い石の上を歩いていけば30分ほどで山頂到着です。途中に白馬山荘を作られた方のレリーフも右手にありました。
白馬岳山頂に到着しました。長かった…実は、この白馬岳が北アルプス初めての山だったりします。「初めてなら燕岳のほうがいいよ」と言われた意味がわかるくらい、体力を必要とする急登の連続でした。しかし、ここからは夢の稜線歩きの始まりです!
右を見れば息を飲むような雲海が広がっています。天気も良好で、絶好の登山日和です。
稜線に危険な場所はほとんどありませんが、白馬岳山頂から少しくだったところで岩場になっている場所があります。乗りこえるときに崖側へ少し体重がもっていかれるので、荷物が重い人は気をつけましょう。
白馬大池まで続く稜線です。道幅もあるので余裕をもって歩けます。
最初のチェックポイントの三国境です(まぶしくてすみません)。矢印通り白馬大池方面へ向かいます。
次のチェックポイントは小蓮華岳です。ゆるやかですがアップダウンがあります。
最初のピーク小蓮華岳(これんげさん)に到着です。ガレていますが、休憩できるスペースはありますよ。
謎のモニュメントの向こうには隣の山の稜線が見えます。うっとりしちゃいますね。
道がガレていて歩きにくい場所がでてきました。転ばないように慎重に歩きます。
船越ノ頭へのアップダウン。急登ではありませんが、昨日の疲れがたまっている状態だと少しきつく感じます。
船越ノ頭に到着しました。振り返ると小蓮華岳への稜線が広がっています。ここで小休憩をいれました。
船越ノ頭あたりからチラチラ見えていた白馬大池が本格的に姿を現しました! こんな大きな池があるとは驚きです。
蓮華温泉と白馬大池への分岐です。もちろん、赤い屋根の山小屋方面へ行きます。
白馬大池から乗鞍岳へ
白馬大池山荘に到着しました。ここで飲み物を補充しつつ、白馬大池の近くまで観察しに行きます。
目がさめるような透明感! もちろん泳ぐのは禁止です。風にゆられる湖面に癒やされます。
白馬大池に感動しつつ、白馬大池山荘から栂池高原を目指して、乗鞍岳へと出発します。登山道は山荘の脇にありますよ。
すっかりゴール気になっていましたが、ここからがまた大変です。山荘を出てすぐに大きな岩の上を歩いてきます。この岩々、ところどころにすき間があって落ちそうになります。実際に落ちてしまったら怪我は不可避でしょう…。
ガレて歩きにくい道をひーこら言いながら登り、なんとか乗鞍岳に到着しました。石が積み上げられたモニュメントが印象的です。ここで休憩している人がいっぱいいました。
ここからは下りだーと安心していたら、またもやここからも大変ポイント。序盤はザレている道を歩き、中盤からは大きな岩の上を飛ぶように歩いていきます。ルートをしめす矢印があるのですが少しわかりにくく、色んな登山者が色んなルートで進んでいっていました。
一か所残雪がある場所も。大丈夫だろう~と雪の上を歩いたら、見事にずるっと滑りました。
天狗原
岩がガレガレの道で足が削られていると、突然ゆるやかな道になり、整備されたきれいな木道が出現。これが現れたら天狗原はすぐそこです。
天狗原はここだけぽっかりと湿原が広がっています。途中に休憩にピッタリなベンチもありますよ。ここで岩で疲れ果てた足を休めました。
ここまで来ればゴールのロープウェイまであと少しです。道の勾配もゆるやかになり、歩きやすい道が続きます。
終着点の山小屋が見えてきました。いよいよ登山は終了です。名残惜しい…
登山口に到着しました! コースタイム15時間25分、距離約15kmを歩いてゴール。ヤマレコアプリで計測したらペースはゆっくりだったので、健脚の方はもっと早く着けるでしょう…。
栂池には栂池山荘・栂池ヒュッテと2つ山小屋があります。村営か民営かの違いだそうです。栂池山荘にあったさるなしソフト(300円)にひかれて、雪どけサイダーと一緒にいただきました。おいしすぎてヤバかったです…全人類に食べてほしい…。
栂池からはロープウェイとゴンドラをを乗り継いで下山。コンクリートの道が足を刺激します…。乗り継ぎ駅で栂の森遊歩道というのがありましたが、ちょっと体力の限界で次回(?)に持ち越しです。
ロープウェイに乗るときに「アンケートお願いします!」と紙を渡されました。回答したアンケート用紙を終着駅の売店で渡したらボールペンとティッシュ(どちらも小谷村オリジナルデザイン!)をもらえました。やったぜ。
終着駅の売店を出て、駐車場の脇にあるバス停から高速バス(新宿行き)に乗って帰宅です。近くにお土産店があったので待ち時間に買い物もできました。
体力があれば白馬岳は登れる
白馬岳はみどころ満載でしたが、体力がないとキツいですね。でも雪渓登りや白馬岳からの景色や稜線、白馬大池や天狗原など見てほしいポイントはいっぱいあります。日本アルプス初心者の方は、他の山を登って体力をつけてから登ってみましょう。でないと私のようにバッテバテになります。では次の山で、また会いましょう!